県下の動き−県民のたたかい

生活保護廃止賠償請求訴訟 口頭弁論【16.07.29】

類似の被害者増やさせない 三重・四日市

 三重県四日市市で生活保護の廃止処分を受け、その後の運動で処分取り消しを勝ち取った男性(63)が、市に対し慰謝料と再発防止策を求めた裁判の第1回口頭弁論が25日、津地裁で行われました。提訴は6月7日。

 男性は糖尿病を患い、就職活動をしていたにもかかわらず、市の担当職員が実態を把握せず、3月11日に「就労指導に従わなかった」として生活保護廃止処分を受けました。男性は、芦葉甫弁護士に相談し、生存権がみえる会、生活と健康を守る会などの支援をうけ、4月15日には市の判断で廃止取り消しが行われ、再び生活保護を受給できるようになりました。

 男性は、再び受給できるようになるまでの1ヶ月余り、住居を失い、食事をする金銭もなく、病院にも通えませんでした。偶然、保護廃止直前に通院し、インスリンの薬が1ヶ月分あったため、ぎりぎりしのぐことができました。

 男性は口頭弁論で、「生活保護を廃止され、生活基盤を失った。何も考えられなくなり、暗闇をさまよっている気分だった」と当時の切実な思いを訴えました。

 提訴後の記者会見で、芦葉弁護士は「月2〜3件は類似の相談を受ける。このような被害者をこれ以上増やしてはいけない。制度設計の見直しなど司法で判断を下し、法的ルールを定めてほしい」と語りました。

 次回は9月26日午前10時の予定。

(「しんぶん赤旗」2016年7月29日付けより)

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